厳選の体験 · アブダビ
アブダビ, UAE
評議の間の丸いテーブルは、家具のかたちをした憲法です。そして大広間の上の丸屋根は、構造をいっさい見せません。
証明のようにふるまう天井
憲法上の必要から並べられた家具
働いている政府の建物を、歩いて通れること
近代の学問がどこから来たのかを置きなおす蔵書
街での短い空き時間を埋めてくれる、ひとつの立ち寄り
アブダビの大統領宮殿カスル・アル・ワタンで二時間。入場と相乗りの送迎つきで、国の間、展示の広間、そして敷地をめぐります。
大広間に立って見上げてください。丸屋根は差し渡し三十七メートル、そしてその内側に構造は見えません。肋も、柱も、支える骨組みも、部屋のなかにはひとつもありません。
面はムカルナスで覆われています。小さな壁龕を積み重ねた蜂の巣で、イスラームの建築が何世紀もかけて練り上げたものです。もとは正真正銘の構造の手立てでした。四角い部屋を丸い屋根へと段々に開いていくために、小さな持ち送りをいくつも積み、それぞれが荷を少しずつ受けて下へ渡していく。時とともにそれはおおむね飾りになり、ここでも飾りです。ただし、かつて構造であったことを覚えている形の飾りです。だからこの天井は、模様ではなく数学の対象のように読めます。
その下のシャンデリアには数十万の硝子が使われています。たいていの人はシャンデリアを撮ります。面白いのは丸屋根のほうです。
評議の間は、復元でも、しつらえでも、過ぎた時代から残された部屋でもありません。連邦最高評議会の働く部屋で、七つの首長国の統治者がここで顔を合わせます。
テーブルは丸く、そこが要点です。アラブ首長国連邦は一九七一年、大きさも豊かさもずいぶん異なる七つの首長国から組み上げられ、そのどれもがかなりの自らの裁量を保ちました。そして憲法上の仕組みは、どの首長国も他の上に座らないことに拠っています。その状況で丸いテーブルは、飾りの選びではありません。憲法の原則が家具になったものです。
知の家には数千の巻があり、その重みの置き方は意図されています。科学、数学、航海、医術へのアラブの寄与です。
その選び方は、硝子の塔の国では忘れられやすいことを言っています。何世紀ものあいだ、アラビア語は地上でもっとも進んだ学問の働く言語でした。代数、光学、天文、大洋の航海を可能にした器具。そしてその多くは、独立した発見としてではなく、翻訳を通じてヨーロッパへ届きました。宮殿は、国のありようを語る建物の中心にその受け継ぎを置いています。これはついでではなく、考えられた選びです。
入場と送迎は含まれ、見学は現地でちょうど二時間です。
控えめな服装が求められます。肩と膝を覆ってください。公開されている場所では撮影が認められています。宮殿はとても大きく、床はほとんどが硬いので、楽な履きものは聞こえる以上に効いてきます。正面に映される夜の光の催しは、暗くなってからの別の行事で、午後の出発には含まれません。写真で見たのがそれであるなら、知っておく値打ちがあります。
開くと日付を選んで料金を確認できます。
料金に含まれるものと、別途ご用意いただくもの。
実用的な情報と、実際によく聞かれることへの答え。
目に見えるものは何も。部屋のなかに、見える肋も柱も支える骨組みもありません。
ムカルナスです。積み重ねた壁龕で、もとは四角い部屋を丸い屋根へ段々に開いていく構造の方法でした。
十年近くです。伝統の手仕事で、そのために招かれた職人たちが手がけました。
いいえ。決められた道筋から見ます。あの部屋は連邦の仕事にいまも使われているからです。
憲法上の仕組みが、どの首長国も他の上に座らないことに拠っているからです。原則が家具になったものです。
科学、数学、航海、医術へのアラブの寄与です。それを言うために選ばれた数千の巻があります。
何世紀ものあいだアラビア語は地上でもっとも進んだ学問の働く言語で、その多くは翻訳を通じてヨーロッパへ届いたからです。
早い午後です。夕方近くより広間は静かで、上の回廊から入る光もいちばんよい頃合いです。